昨今の「ビジネスデザイン」の潮流
ーー前回に引き続き、当社代表取締役社長であり、社会情報大学院大学准教授でもある渡辺さんに、「ビジネスデザイン」についてお話をうかがいます! 最近、ビジネスデザインを標榜している企業が、多く見られるようになりましたね。海外では、当社が取り組んでいる「Kaospilot」のようなビジネスデザインスクールも増えていますし、日本の大学でも、立教大学大学院や城西国際大学大学院のような大学院にビジネスデザイン研究科があります。
そうですね。数年前から経済産業省なども「デザインが必要だ」ということを提唱していて、「デザイン経営」を普及させようとしています。デザインというものが、今後はもっともっと経営の現場に出てくるのではないかと思いますね。もともと、そこは日本が強い分野だと思うのですが、どうしても左脳的に考えると、そこに行き当たらなくなるというのがあります。ーー日本でも強い分野だということですが、例えばどういった事例が挙げられますか?
例えば、SONYはウォークマンなど新しい製品をどんどん創っていきましたし、その当時はAppleが参考にしていたそうです。そういう企業は数多くありましたが、どうしても日本の企業では経営管理に比重が置かれ、「どうやって数字を伸ばすか」ということばかりに注目が集まるようになってしまいました。「今の世の中で、どう付加価値を出していくか」というところに、目が向きにくくなっていったのかもしれません。
「IT・デザイン・マーケティング」のプロ集団
ーーそういった欧米的な管理思考のなかで見失われがちなものが、今また注目されてるのだと思います。「ビジネスデザイン」を掲げている企業が増えてきたなかで、当社の強みや、今後の展望はどのようなものでしょうか?
「ビジネスデザイン」という観点は、あくまで主役ではないと思っています。素材を生かして美味しくする料理のようなもので、「クライアントの強みをうまく抽出して、今の世界に合うように変えていく」いとなみそのものです。
特に我々は、ITベンダーでもデザイン会社でもなく、「IT・デザイン・マーケティング」のプロ集団なので、普通であれば1社でやらないこともできます。そこが強みと言えるのではないでしょうか。
ーーその3つが絡み合いながら、ソリューションとして提供できるということですね。
それが、イノベーター・ジャパンを立ち上げたきっかけでもありますね。元々、自分はSIerの業界にいて、その次は広告・メディア業界に在籍していました。日本の場合、SIerとマーケサイドのITは分断されていて、その辺りをつなげていく必要があるのに、なかなかやっている会社がなく、ならば自分が、と思ったんです。
ーー「SIer+広告+Web」を分断せずにシームレスにつなげているところが、当社の強みでもあるのですね。
当社が今やっている「MediaDX For Marketing」は、企業の営業活動全般で、マーケティング活動によってリードを創出し、受注までつなげていき、継続的なコミュニケーションに落とし込む流れになっています。分断はなく、一気通貫のコミュニケーションです。
そこをきちんと提供すべく、我々はメディアを基軸にしつつ、現在ではCRMなどのコミュニケーションツールを組み合わせたソリューションとして提供しています。サービスを受けるユーザ側からしたときに、体験が分断されていないことが大事ですよね。
「URASAN」というメディア、なぜ立ち上げた?
ーー前回、当社のアートメディア「URASAN」についてお話がありましたが、もう少し詳しく聞いていきます。URASANはどういう点で、アートで繋がっているのでしょうか?当社が行う意味についても、教えてください。
当社は表参道にあります。そして、表参道は従来、文化やアート的なものが発信される場所で、昭和の頃の表参道の写真などを見ても、本当に熱量の高い発信力がありました。
ところが現在の表参道を見てみると、海外のハイブランドが並んでいるだけで、そういった要素があまりない。そこがもったいないなと思っていて。
ーーたしかに、海外のハイブランドばかりが立ち並んでいますね。
前回、アーティストが「美しさ・かっこよさの物差しを創っている」という話をしましたが、日本からも新しい美しさへの提案をするべきだし、そういうことが今後の力につながっていくと思うんです。
小さくてもいいから、そういう動きができるような拠点を当社で作れたらいいなと思ったんです。我々がオフィスを構えている通りから一本入ったところを、勝手に「裏参道」と定義づけたんですけれども(笑)、裏参道を中心にそういった「新しい物差しの発信」ができたらいいなと考えています。いまはコロナ禍なのでオンラインのメディアという形からのスタートとなりますが、今後もビジネスリーダーやアーティストが集えるような場所を提供していきたいですね。
ーー当社では以前から、「InnoCAFE」というイベントをしていますよね。
そうです。この延長線上にもなりますね。今までにも、そういったコミュニケーションのハブとなるような場作りを検討していたんですけれども、コロナ禍になってしまったので、仕方なく第一弾としてはウェブメディアの「URASAN」を立ち上げようということになりました。ビジネスリーダーの方々をターゲットとして、ぜひアートの感覚や感性を伝えたいということで、さまざまな領域のアーティストの方々にインタビューをしています。
「URASAN」では、作品がどうこうとか、芸術論がどうとか、そういう話は一切ありません。アーティストの方々自身やその語りがアート作品のようなものなので、そういう方々のシビアな目線、感性を、声でお伝えするということにチャレンジしています。
「ビジネスデザイン」の第一歩
ーーこのインタビューを機に、ビジネスデザインに興味を持ち始めた方がいらっしゃるかと思いますが、どういうところから入っていくと、ビジネスデザイン的な観点が身についていくのでしょうか?
自分がかつて人から聞いて、目から鱗だった話を紹介します。
「うまくいっているビジネス・サービス」は、たくさんありますよね。その方は「デコントラクション」という言葉を使っていましたが、そのうまくいっているビジネス・サービスを頭のなかで分解してみると、やはりキーとなる要素が出てくるんです。
そして「これだ!」という要素を、自分の引き出しに入れていく。その引き出しが揃ってくると、自分が課題に直面した時に、組み合わせることができる。その積み重ねが、結構大きい気がしますね。
ーー当社には包括的にさまざまな職種の人がいて、「ビジネスデザイナーとしていつか活躍したい」と考えている方には、いい場所になるのではないかと思います。
そうなんですよ。難しいのが、「御社は何の会社なの?」と聞かれた時ですね(笑)。何業かと聞かれても、そこまでぴったりくるものがない。マーケティングだけでも、ITだけでも、エンジニアリングだけでもなく、それらの中間地点にある。定義はされていないけれど、大事なエリアだと思っています。
ーーご興味ある方は、当社の採用や広報の情報にも触れていただければと思います。本日はありがとうございました。
多様なプロフェッショナルと一緒に働きませんか?
当社には、今回ご紹介した「ビジネスデザイン」を実現するエンジニア、ディレクター、デザイナー、コンサルタントなど、さまざまなプロフェッショナルが在籍しています。それぞれが専門性を活かしながら働くイノベーター・ジャパンでは、この度、絶賛組織拡大中につき、さまざまなポジションにてメンバーを募集しています!
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