こんにちは、デザイナーの安藤です。
今回は「シグニファイア」という言葉を中心に、日常に潜む「使いやすいUIデザイン」について書こうと思います。
そもそも「シグニファイア」とは
「シグニファイア(signifier)」とは、対象物と人間との間のインタラクションの可能性を示唆する手掛かりのことです。もう少し詳しく言うと「物を使うときに、設計側が意図した行動へ、使い手を負担なく誘導するための共通認識」のことです。これは、デザイン用語としてアメリカ合衆国の認知科学者ドナルド・ノーマンによって提唱され、様々なデザインの領域で用いられています。
参照URL:シグニファイアとは何?
シグニファイア」が用いられているデザインは何か
例えば、ドアノブをイメージしてみてください。
普段無意識のうちに開閉を行い、ドアをくぐり抜けているのではないでしょうか。実は、ここにもシグニファイアの考え方が潜んでいます。ドアに取っ手が丸い形状でついていれば回して開ける。縦にバーのようなものがついていれば横に引いて開ける。誰もが当たり前に行っている動作も、設計者と使い手の共通認識を元に設計されているからこそ、ユーザーが迷いなくドアの開閉を行うことができるのです。。
もしも、逆に横に引いて開けるドアに丸い形状の取っ手がついていたらどうでしょう??
いつもなら引いて開けるドアが、どれだけ引いても開かない。もしかしたら鍵がかかっているのではないかと思い、ドアを開けずに去って行ってしまう人もいるのかもしれません。
ユーザー側の思考に潜む行動を起こす条件と結果を理解し、ビジュアルに落とし込むことこそが、使いやすいプロダクトを設計するためには重要なのです。
使いやすいUIデザインを身の回りから学ぼう
WEBサイトやプロダクトを作る際にも、参考にできるデザインは身の回りの様々なところに潜んでいます。
先程お話したドアノブや電子レンジのボタン、照明をつけるスウィッチ、エレベーターのボタン、オーディオのボリュームを上げ下げするレバー。その形状であったり、影の落ち方、使われている文言や色。
実際に触ってみて、確かめて、なぜ使いやすいか見過ごさずに考えてみる。
身の回りにあるデザインを一度立ち止まってUIの視点で眺めてみる。
自分がどう感じて、どう行動したか心の中で観測してみる。
「シグニファイア」という概念を認識しその観点から日常を見渡すことで、普段は気づくことができなかったデザイナーの工夫や面白さへの発見であったり、「使いやすいUIデザイン」へのヒントが見つかるかもしれません。
以上が、「シグニファイア」という概念から考えた「使いやすいUIデザイン」についてでした。