HOME Design 「革新を起こすか、死ぬか」- コロナ禍における組織イノベーションの必要性

「革新を起こすか、死ぬか」- コロナ禍における組織イノベーションの必要性

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Christer Windeløv-Lidzélius(ビジネスデザインスクールKaospilot校長@デンマーク)

日本の皆さん、こんにちは。クリスターです。

「革新を起こすか死ぬか」
これがビジネスにおける厳しい現実です。己を進化させ続けられた企業だけが生き残り、繁栄するのです。
「廃れたが、まだ死んではいない」
これは多くの企業が現在置かれている状況です。今回はこの言葉について深く解説していきます。

かつての自然界では、巨大な恐竜たちによって地球は支配されていました。しかし、隕石という「予期せぬ衝撃」が地球に激突し、その破片によって太陽からの光を数年間に渡って遮り、恐竜のような変温動物にとって非常に不利な環境に地球は急変しました。そして、サルなどの恒温動物が誕生し、人間の進化へとつながるのです。ですが、考えてみてください。隕石の衝突によって気候が激変した後も、恐竜たちは一瞬にして絶滅するのではなく、何日間かは生きていたはずです。

当時の恐竜のように、絶滅間際ながら存続している「絶滅危惧」企業は現代、たくさん存在しています。例えば、かつての大手写真用品メーカー「Kodak」が、自ら開発したデジタル写真技術への投資を躊躇したことで破綻したことは周知の事実です。しかし、あまり知られていない事実は、彼らがデジタル化の流れに飲み込まれた後も17年間細々と事業を続けていたことです。その他の例もたくさんあります。あなたの会社は「絶滅危惧種」の1つになってしまっていないですか?

現代における「予期せぬ衝撃」ーコロナウイルス

私の母国・デンマークでは、2020年3月11日にコロナウイルスの国際的な感染拡大によりほぼ完全なロックダウンが行われました。その変化は、デート中のカップルが周りのバーや飲食店、ホテルが閉まっていることを暗くなるまで気づかなかったほどに急なものでした。しかしそのようなことより重要なのは、多数の企業がその日のうちに生計が立てられなくなってしまったことです。私たちKaospilotと協力して事業を行なってきた企業の一つは、コンサートや音楽フェスティバルと言ったような大きなイベントで収益を立てていました。ロックダウンが開始されたことにより、その会社は95%の収入減となったそうです。しかし、このような悲惨な被害に遭ったのは彼らだけではありません。

ダーウィンの進化論は企業の世界でも当てはまるのか?

ダーウィンの進化論の中にこのような言葉があります。
「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものでも、最も頭のいいものでもない。それは、変化に対応できる生き物だ。」
面白いことに、これは組織マネジメントの世界においても共通する理論です。
つまり、Kodakは気がつかないうちに写真用品業界に革新を起こしていながらも、その革新に合わせて自らを進化させることができなかったために破綻してしまったのです。このように、市場の開拓者である企業が、新たなビジネスチャンスを求めて市場に入ってくる企業や起業家によって淘汰されてしまうことは、「創造的破壊」が生まれる時は特に、珍しいことではありません。(※創造的破壊 - 20世紀の有名な経済学者ヨーセフ・シュンペーターが作った言葉。イノベーションが、既存の技術や知識、会社などを駆逐してしまうほどの影響を及ぼすこと。)
携帯電話業界における本当の勝者は、スマートフォンを一番最初に作ったNokiaではなく、その後スマートフォンに更なる革新を加えた新規参入のAppleやSumsungなのです。

ちょっと心配になってきましたか?「自分も、今後生まれるたくさんの創造的破壊が属する業界を大きく変え、いつか倒産に追い込まれるのではないか」と。希望を捨てるのは少し早いです。確かにダーウィンの理論では、(ごく稀に、ちょうど良いタイミングで突然変異が起こった場合を除いて)生物は自分の基本的性質を大きく変えることはできないとされています。しかし、組織は生物とは少し違い、環境・状況の変化に合わせて自分の性質・構造・システムを変えることが可能なのです。

革新の必要性

まだ完全に死んではいない?確かに、ノートパソコンの先駆者であったIBMは、パソコンの開発をAppleなどの他企業に譲りながらも、後々自分たちの戦略を一変することでパソコン市場でもその立ち位置を確立することに成功しました。希望は十分に残されています。自分で発明した商品・技術・市場でなくても、自分の生き残る道を作ることはできるのです。発明(Invention)と革新(Innovation)は別のものであるということを理解してください。必要な経営スキルを手に入れることができれば、組織を改革し、寿命を大いに延ばすようなビジネスモデルの構築なんて簡単です。グローバリゼーションが進み、サスティナビリティの重要性が叫ばれ続けている今、世界のさまざまな側面で変化が巻き起こっています。革新を起こさなければ、あなたの企業は他の競合に置いて行かれてしまいます。

現段階で、今後必要となるマネジメントスキルを持ち合わせた組織や経営者の数は非常に少ないです。しかし、このスキルは魔法でもなんでもなく、誰でも習得・会得可能な技術です。なので、もしこれを読んでくださっているあなたの企業が「絶滅危惧」企業であっても、完全な絶滅を避けるのはまだ間に合います。経営者として、自分の組織の未来を切り開いてください。

今回は、イノベーションの重要性を皆さんと共有しました。
次回は、多くの企業が陥りがちな失敗の連鎖についてお話しします。

Thank you.

Christer

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