こんにちは、フェミニストです。
あっ、いや、男女関係なく性別による役割分担からは解放されるべきだと考えてはいるものの、違和感のある表現を見ても声を上げずにそっと距離を置く程度の熱量しかない比較的穏健なフェミニストです。
しかし昨今では、そっとつぶやいたつもりでもSNSなどで違和感に対する声が見える化され、さらに拡散されていくことで、ジェンダー表現による炎上案件が増加しています。
日本においてはまだまだ古い価値観の中で育ってきた世代が決裁権を持っています。そんな中で、自分の価値観を見直してアップデートしていくことはなかなか難しいことかもしれません。今まで大丈夫だったのに、なにが悪いのかわからない、そういう人もいるでしょう。
それでも世界的には、ジェンダーバイアスをなくすための取り組みはどんどん進んでいます。表現方法について、わかりやすくまとまっているガイドラインもあるので、なにかポロリと発言してしまう前に、少しでも新しい価値観に触れて自分のそれをアップデートしておけるといいのではないでしょうか。
例えば、イギリスの広告基準協議会(ASA)では、広告でステレオタイプのジェンダー表現を使ったらダメですよ、というガイドラインを出しています。
参考:Advertising Guidance on depicting gender stereotypes
このガイドラインの中で、NGとされている表現をいくつか紹介します。
- 散らかった部屋で男性がくつろぎ、女性が掃除をしている
- 男性が感情的な弱さを見せることを馬鹿にする
- 男性だからおむつを交換できない、女性だから車の駐車が苦手、簡単な家事だから男性でもできるといった表現
- 痩せることで、恋愛や社会生活において問題が解決したような印象を与える
- 男の子は大胆な性格で、女の子は世話好きな性格、というような性別によるラベリング
- ステレオタイプな色、言葉、音楽などを使って性別を想起させる
あれ、あの表現は・・・と思い当たるようなクリエイティブ、ありませんか。つまり、そういった広告はイギリスでは出せないってことです。
また、いろいろ批判もあったオリンピックですが、IOCが出している表現のガイドラインはとても参考になります。
参考:スポーツにおけるジェンダー平等、公平で インクルーシブな描写のための表象ガイドライン
ここでは使うべきではない形容詞として「セクシー、イケメン、美女アスリート、ママさんアスリート」といった表現があげられています。他にも、女性のアスリートに対し、男性のように、と表現しない、とか、女性アスリートに対して自ら言及しない限りは夫や家族からの支援に関する質問をしない(男性アスリートに対してはそのような質問がされることはあまりないそうです)などなど。
つまり「オリンピックのイケメンアスリート特集」なんかは完全にガイドライン違反な表現になる訳です。そういう特集をしているメディアを見たら、価値観がまだ古いままなんだな、と思いましょう。そしてまた、ジェンダー表現の問題というのは、女性に対する偏見だけではなく、男性に対する偏見の問題でもありうるということも、しっかり心に刻みましょう。
ちなみに例のたわわの件ですが、広告の表現として規制されるべきか、と問われたら規制するほどではないと思いますが、広告としてどうか、と問われたら下品だなと思っています。広く告げたい商材が青年誌だから表現としては正解だろうし、めちゃめちゃ配慮もされてるけど、電車の中でスポーツ新聞のえっちな面を目の前で広げて読まれてるような不快感は拭えません。そしてそれがスポーツ新聞じゃなく経済新聞に掲載されてしまった残念さはあります。でも、大人なので好き嫌いと良い悪いとの分別はつけていきたい。
こういった違和感は、同性ばかりのホモソーシャル(単一な社会組織という意で使っています)な集合体だと気付きにくいという問題があります。そして結局、組織には多様性が必要、という話に戻るのです。結局のところ、世界経済フォーラムが発表しているジェンダーギャップにおいて、毎回先進国の中で最低水準を叩き出している要因の一つでもある政治や経済分野での意思決定層に女性が少ないということが解消されないと、根本的には変わっていかないのかもしれません。
だからと言って、わたしたちが何もできないということではないので、まずは価値観をしっかりアップデートして、きちんと他の人の違和感にも気付けるようになれるといいですね。
ということで、世界ではこういった考え方が標準化してきていますよ、という話でした。