HOME Marketing 【コラボレーションマーケティング事例】フライングタイガーコペンハーゲン

【コラボレーションマーケティング事例】フライングタイガーコペンハーゲン

著者アイコン
Innovator Japan Editors

こんにちは、実は北欧に一時期住んでいたことがある、利右衛門(りえもん)です。

イノベーター・ジャパンには「セミナー勉強会参加費補助制度」というものがあります。 セミナーに参加することで会社に還元できる利益等の内容を事前申請、承認されると一部参加費の補助がうけられます。補助を受けた場合は、参加後にレポートを提出し、社内への情報共有が義務付けられています。

今回私はこの制度を利用して、『~予算ゼロ!?でも集客できるフライングタイガーコペンハーゲン流コラボマーケティング~にっぽんのマーケターMeetUpVol.6』というイベントに参加させていただきました。とても興味深いお話を聞くことができたので、その様子と、そこで学んだフライングタイガーコペンハーゲンの事例をレポートしたいと思います。

f:id:riehirai:20160823181941j:plain 表参道のストア

予算ゼロ!?でも集客できるフライングタイガーコペンハーゲン流コラボマーケティング

なにを期待して参加したのか

イベント冒頭で講師の柘野さんもおっしゃっていたことですが、このイベントのポイントは3つ

  • 予算ゼロ!?….低予算での施策立案についての情報があるかも
  • フライングタイガーコペンハーゲン流….テレビなどによく出ているあのカラフルな雑貨屋さんの事例についての情報があるかも
  • コラボマーケティング….他社との協業のノウハウ情報があるかも

このうち、私がどれに惹かれたかというと、、全部です。(笑)

お客様とのプロジェクトの場合は、ウェブ施策への予算がそんなにない…ということも少なくありません。社内のプロジェクト経費については、正当な理由や効果の裏付けが証明できれば、適宜検討してもらえる環境ではありますが、それでもお金がかからないにこしたことはないですよね。

また、定期的にいろんな方を講師にお招きしてInnoCAFEというイベントを開催しており、私はその企画や運営に入ることも多いので、コラボレーションをいかに最大化するか、というところにも興味がありました。

さらに、当社ではデンマークのビジネスデザインスクールKAOSPILOT(カオスパイロット)の学生さんをプロジェクトで受け入れたり、デンマーク企業様とお仕事をさせていただいたりと、じつはデンマークとのつながりが何かとあるのです。個人的には学生時代に北欧に1年程住んでいたことがあり、コペンハーゲン旅行中には、物価の高いこの国で可愛い雑貨がこの値段で…!とフライングタイガーコペンハーゲンでのお買い物を楽しんだ記憶が懐かしく、勝手に親近感を持たせていただいていました。

ということで、「居酒屋で飲みながら決まった」というこのタイトル、企画・運営のみなさまの思惑にまんまとノセられてしまった形です。

どんなお話がきけたのか

講師はフライングタイガーコペンハーゲン/Zebra Japan㈱ マーケティング部 部長、柘野英樹さんでした。 アットホームな雰囲気のなか、柘野さんのお話→質疑応答→懇親会というように進行していきました。

お話の内容は大きく以下の3つ。

  • 柘野さんってどんな方?
  • フライングタイガーコペンハーゲンってどんなブランド?
  • どんなマーケティング施策をやっているの?

それぞれ私の印象に残ったところをピックアップしてご紹介します。

柘野さんってどんな方?

東北新社でCM制作業からキャリアをスタート。その後広告代理店を経て、アディダスジャパンやスターバックスコーヒージャパンなどの事業会社のマーケティングに携わってこられました。 フライングタイガーコペンハーゲンを運営するZebra Japanには2014年11月に入社し、マーケティング部を率いておられます。

現在のマーケティングチームは4人チームでお仕事をされており、他の3名の方の職域は

  • PR担当
  • デジタル担当
  • グローバルとの調整・その他の業務担当

というように分かれているそうです。柘野さんご自身も、パートナー企業の方に会ったり、調査会社さんとの打ち合わせをしたりと、部長=マネージャーであると同時にプレイヤーとしても第一線で活躍されておられるのだなあということを感じました。

フライングタイガーコペンハーゲンってどんなブランド?

20年ほど前にデンマークでレナート・ライボシツさんにより創業されました。

タイガーの語源はtiere(ティアー:デンマーク語)。これは英訳すると tens となり、10クローナ(≒100円)均一ショップといった位置づけのお店としてスタートしました。

ヨーロッパを中心に世界28の国と地域に650店舗以上を展開中。日本には2012年に進出し、現在は26店舗を展開しています。

お膝元デンマークでは創業当初の100均イメージがなかなか抜けないそうで、「よいものを扱っている」というブランディングのために、デザイナーとコラボした急須だったり、オノヨーコさんの写真集だったりを近年は展開しているそうです。

対して日本でのイメージは、100均というよりは可愛い雑貨が手軽な価格で手に入るというイメージから展開しているため、いかに「日常的におとずれてもらう」かが課題だそうです。

同じブランドでもステージによって必要なコミュニケーションが違うこと、それをしっかりと理解されて、フレキシブルな対応をされているところが印象的でした。

f:id:riehirai:20160823181947j:plain 店内のようす

どんなマーケティング施策をやっているの?

フライングタイガーコペンハーゲンの現在の課題は、「リピーターをいかに増やすか」というところにあるそうです。 メディア露出は多いものの、安い・おもしろい、という取り上げられ方が多く、家に帰って買ったものを改めてみてみると、何に使おうか?となり、結果再訪につながっていないのではないか、というのが柘野さんの見立てです。

そこで、フライングタイガーコペンハーゲンに「行く理由」を増やすための施策立案を、今期は中心的にしているそうです。しかし、実際に使える予算は限られている…そこで外部のパートナー企業とのコラボマーケティングを実施されることが多いそう。そのように外部とタッグを組むときに柘野さんが念頭においていることは

自分たちのことを知り、自分たちがやりたいことが明確にある。

相手を知ろうとし、相手がやりたいことを正確に把握する。

これを50:50で振り分ける。

ということ。

これを整理するためには、以下の5つのポイントを自社・パートナー企業それぞれについて整理することが役立つのだそう。

  • それぞれのマーケテイング活動上の目的は何か?
  • それぞれの課題は?
  • 強みは?
  • 弱みは?
  • どこから収益を得ているのか?

この考え方を一般社団法人日本ホームパーティー協会さんとのコラボ事例をもとに、具体的に説明してくださいました。

一般社団法人日本ホームパーティー協会さんとのコラボ事例

この事例は「ホームパーティーといえばフライングタイガーコペンハーゲン」というイメージづけをしたい、という構想からはじまりました。先ほどの、「行く理由」をつくってあげる施策ですね。いくつかホームパーティー文化の醸成を行っている企業・団体をピックアップし情報収集、先ほどのフレームワークに当てはめながら最適なパートナーを探し、日本ホームパーティー協会さんと協業することになったそうです。当てはめ例を挙げると、以下のような形でしょうか。

フライングタイガー
コペンハーゲン
一般社団法人
日本ホームパーティー協会

それぞれのマーケテイング活動上の目的は何か?

ファンをつくる 認知度を上げる
それぞれの課題は? 「行く理由」がそれほどない 露出がそれほどない
強みは? メディア化した
店舗ネットワークと
個性あふれるスタッフ
インフルエンサーとの繋がり
弱みは? 日常に入り込めていない 実績が少ない
どこから収益を得ているのか? 実店舗での売上 検定の受験料

※柘野さんのフレームワーク・お話をもとに私が入力したため、実際のものとは異なります。

このように整理された情報をもとに練られた実際のキャンペーン内容は

  • ホームパーティー協会に所属するインフルエンサーをストアに招き、ホームパーティーを実施。SNSにて拡散してもらう。
  • ホームパーティー協会が実施する検定の受験料を期間中はフライングタイガーコペンハーゲンが負担。受講生を増やす。

主にこの2軸、SNSでの拡散は梅雨の時期だったので、 #梅雨パ というハッシュタグを使用しました。情報発信にSNS、インフルエンサーを活用することで、1リーチあたりのコストは低水準に抑えられ、ホームパーティーグッズの売上にも貢献したそうです。また、ストアスタッフの方はブログを運営しているそうなのですが、そこに #梅雨パ のハッシュタグをつけての投稿が増えたそうで、スタッフを巻き込んだキャンペーンになったことも評価できるとおっしゃっていました。

この事例は、お互いにWin-Winなキャンペーンになっているところが、一番のポイントだと思います。インフルエンサーに協力してもらうだけではただの広告モデルになりますが、相手の収益モデル(=検定受験)を理解してお金がまわるようにしているのです。

  1. 検定を受験する
  2. 検定を受けてくれた人はホームパーティーをしたくなりストアを訪れる
  3. ストアに訪れる
  4. パーティーの様子をSNSで拡散

という好循環ができているところが、素晴らしいなあと思います。先ほどのフレームワークで分析したお互いの強み・弱みや目的、収益源をうまく補完していらっしゃいますね。

その他にもiemo[イエモ]さんやUR賃貸さんともコラボ実績・予定があるそうです。

参加してみて

  • 会場では実際の数値やグラフ、「ここだけの話ですが…」と裏話なども交えてお話してくださったので、具体的なイメージをもってお話をきくことができました。
  • 心がけていること、を共有してくださる講師さんは多いですが、実際の情報整理の方法・フレームワークまで踏み込んでお伝えいただいて、「なんだか自分もできそう…!」と感じることができました。
  • にっぽんのマーケターMeetUpさんには初めて参加させていただきましたが、業種かかわらずにマーケティングのお仕事をされている方がたくさんいらっしゃり大変刺激になりました。改めまして、ありがとうございました。

イノベーター・ジャパンでも「InnoCAFE」と題しまして、いろんなゲストをお招きし、定期的にイベントを開催しています。現在も次回のイベントを鋭意企画中です!ページをフォローしていただけると、新着イベント情報をお届けできますのでよろしければ「コミュニティに参加」をぜひポチっとおしてやってくださいませ。

フライング タイガー コペンハーゲン | Flying Tiger Copenhagen

にっぽんのマーケター | MARKETER of NIPPON

関連記事