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ビジネスデザインを実現するための「ビジネスデザイン本」必読5選

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Innovator Japan Editors

amazonなどのウェブストアで「ビジネス」「デザイン」をキーワードにして書籍を検索すると、意匠的な意味でのデザインを示す本を含めて、多くの本がヒットします。

10年前にはほとんど聞かれなかった「ビジネスデザイン」という言葉ですが、AppleやGoogle、任天堂やYahoo! JAPANなどの大企業だけではなくAppleや任天堂から紐解く、ビジネスデザインの成功事例、世界中の多くの企業がこの思考法をビジネスの場に取り入れようとしている昨今、「How To」を求めるニーズに答えた形だといえるでしょう。なぜ、デザイン思考がビジネスの場に必要なのか?

今回は、ビジネスデザイナーでもある当社の渡辺社長と、飯田COOがおすすめする「ビジネスデザイン」の本を紹介します。

「ビジネスデザイン」の必読書5選

ここで紹介する本は、真新しい事例を集めたものというより、「根本的な考え方を解説したもの」であり、世界中の人々の間で長く読まれている名著です(そしてきっとこの先も、多くの人々に長く読まれ続けるはずです)。ビジネスデザインを実践しようとする人は、ぜひこの5冊の内容を押さえておきましょう。

(1)“正しいだけ”の経営判断からの脱却ーー『イノベーションのジレンマ  技術革新が巨大企業を滅ぼすとき〔増補改訂版〕Harvard Business School Press』(2001年邦訳版) 

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各大学院のビジネスデザイン研究科等でテキストとして採用されることも多く、名著として知られています。著者は、経営思想家のクレイトン・クリステンセン氏。

邦訳版副題に「技術革新が巨大企業を滅ぼすとき」とあるように、本書では、「業界をリードしていた企業が、ある種の市場や技術の変化に直面した時、図らずともその地位を守ることに失敗するエピソード」が多数取り上げられています。

筆者は、それを「破壊的イノベーションの法則」と名付け、そのメカニズムを解説。論理的で正しいだけの経営判断では乗り越えられない、イノベーションのジレンマについて解き明かした、世界的なベストセラー本です。

(2)ビジネスデザインの基礎を学びたい人へーー『Design of Business: Why Design Thinking is the Next Competitive Advantage』(2009年)

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グローバル企業の戦略アドバイザーを務める「戦略の第一人者」として知られる、ロジャー・マーティン氏の著作。

残念ながら日本語に翻訳されたものは刊行されていませんが(2022年5月現在)、タイトルを直訳すると「ビジネスのデザイン:デザイン思考が次の競争優位である理由」となります。

本書において同氏は、「To innovate and win, companies need design thinking.(革新して勝つために、企業はデザイン思考を必要としている) 」と提示。変化の速さに対応するための「知識や分析結果を、そこから別の段階に押し上げる方法」である「デザイン思考」が、今後はより必要とされると説きました。

本書の発刊は、ビジネスデザインが世界的に注目され始める一つの契機であったとも言われています。ビジネスデザインの基礎を学びたい人におすすめの一冊です。

(3)失敗の本質に目を向けられる組織になるには?ーー『失敗の科学 失敗から学習する組織、学習できない組織』(2016年)

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なぜミスが繰り返され、改善されないのか? 医療業界、航空業界、グローバル企業、プロスポーツリームなど、あらゆる業界を横断して、「失敗の構造」を解き明かした一冊。著者は、英『タイムズ』紙の第一級コラムニストを務めたマシュー・サイド氏。

本書では、各界の失敗の事例を取り上げながら、「なぜ失敗が起こるのか」のプロセスを分解し、組織論や人間心理に言及します。例えば、「人はウソを隠すのではなく、信じ込む」と書かれた章立てにはドキリとさせられます。

「こうすれば失敗しなかったのに」という単なる愚痴や後悔に終始するのではなく、根本的な原因・失敗の本質に目を向けることが大切だと気づける一冊。こちらも、世界的なベストセラー本です。

(4)デザイン思考のノウハウが満載ーー『クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法』(2014年邦訳版)

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Appleやサムスン、P&Gなど名だたる企業の成長を支えてきた世界的なコンサルティング会社「IDEO」の創設者であるデイヴィッド・ケリー氏と、その共同経営者のトム・ケリー氏の共著で、ビジネスデザインに欠かせない「デザイン思考」のノウハウがまとめられた一冊。

2014年に発刊した邦訳版は394ページに及びますが、難しい言葉を使ったノウハウ本ではなく、両氏が経験してきた多彩なエピソードを交え、読みやすい・理解しやすい文体で構成されています。

また、邦訳版のはしがきでは、日本の読者に向けて以下のように記しています。

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創造力に対する自信(クリエイティブ・コンフィデンス)には、欠かせない要素がふたつあります。

斬新なアイデアを思いつく人間の生来の能力と、アイデアを行動に変える自信です。私のこれまでの経験からいっても、日本人は本当にクリエイティブです。

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「え、日本人がクリエイティブだって? 本当に?」と懐疑的になってしまうかもしれませんが、本書によれば、5カ国の約5000人を対象に「最も創造性がある国」を尋ねた調査では、「日本」という回答がもっとも多かったとか。


実は、私たちが考えているより、日本人はクリエイティブなのかもしれません。

(5)デザイン思考の最新事例も掲載ーー『デザイン思考が世界を変える〔アップデート版〕: イノベーションを導く新しい考え方』(2019年)

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上記でも紹介した、世界的なコンサルティング会社「IDEO」のCEOを務めたティム・ブラウン氏の著作。デザイン思考を解説した本の「草分け的な存在」としても、知られています。本書は、2009年から発刊10周年を迎えた2019年、内容を刷新してアップデート版として発刊されたものです。

企業が実際に取り組んできたデザイン思考の事例を多数取り上げ、「洞察」「観察」「共感」というデザイン思考の本質を紐解きながら、組織を蘇らせる方法や社会的問題を解決するための方策を解説しています。

アップデート版では、この10年間のデザイン思考の進展や、ネットフリックスが進めるUXデザイン開発からツイッターの成功例まで、最新事例も多数掲載されています。

名著から考え方の基礎を学ぼう

いかがでしたか。ビジネスデザインを実践する上で役立つ情報は、さまざまな手段で集められますが、書籍は情報が体系化しているので、特におすすめです。